| アジア地域協力と中日関係――早稲田大学における王毅大使の講演 |
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早稲田大学は中国国民にとって、たいへん馴染み深い有名な学府です。ここは日本近代文化学術の揺りかごであり、最初に中国からの留学生を引き受けて下さった大学でもあります。廖仲恺、李大钊、そして廖承志など中国の著名な政治家たちがいずれも早稲田で勉学したことがあります。数十年来、早稲田は中日両国の教育文化協力を促進し、相手国のことを分かる国際的人材を育成するために、優れた貢献をなされました。謹んで感謝を申し上げます。
アジアの地域協力と中日関係を中心にお話をと言われましたが、このテーマは、中日関係をアジアという大きな背景のもとで把握する考えを示しており、そのラインに沿って、まずはアジアの歴史的変化及び地域協力の必要性からお話をしていきたいと思います。
アジアはかつて人類の文明と進歩に多大な貢献をしましたが、近代に入って西洋文明に追い越され、だんだん遅れてしまいました。戦後60年間の努力により、アジアは再び世界を驚嘆させる発展の奇跡を作り出しております。特に、冷戦終焉しての十数年来、アジアの経済成長率がずっと世界で上位を保ち、複数の国々が近代化に邁進しています。今日になって、アジアの経済規模が世界全体の四分の一、貿易額が三分の一近く、外貨準備高が三分の二を占めています。
現在、世界はますますアジア、特に東アジアに注目し、人々がますますアジア、特に東アジアに希望を託しています。21世紀はアジアの世紀であり、中でも東アジアがアジアの復興のために先駆的役割を果たすというような議論があちらこちらで聞こえてきます。
それでは、アジアの復興とは何か、私に言わせますと、それは一つや二つの国の復興に限ることではなく、一部の地域だけに現れることでもありません。アジアの復興とは、アジア全体の発展、アジア意識の形成、アジアがその他の洲とより互恵、ウィンウィンの関係を築き上げていけることだと思います。そして、この理念を一番反映できるものはアジアの地域協力であります。従いまして、歴史の座標軸で見れば、アジア地域協力は事実上世界文明の進歩と発展の成り行きに順応したものであります。
次に、アジア地域協力はグローバリゼーションの大きな流れに対処する必然たる要請であります。当面の世界には二つの大きな流れがあります。一つは世界構図が全般として多極化に向かっており、もう一つは阻むことのできない経済のグローバリゼーションであります。グローバリゼーションというのは、各国間の経済的国境を破り、限られた資源を世界的範囲で合理的に配置し、世界の統一市場を確立して、経済効果の最大化を図ることが要請されます。しかしながら、多国間の経済貿易枠組作りの進展が遅く、グローバリゼーションが私たちに呈している現実はほぼ無秩序の状況で、弱肉強食の光景すら見られます。こうした状況に対処するために登場し、そして著しく発展してきたのは、活力に満ちた地域経済の一体化であります。その中で、ヨーロッパが真っ先に進み、すでに経済金融の統合を成し遂げ、現に政治、外交の一体化に進んでいます。アメリカ洲がそれを追っかけていき、アフリカも遅れを取らないように動き出し、アジアが後から追い越そうとしています。地域協力の実質は、限定された時間と空間の範囲内で実現されるグローバリゼーションであります。即ち、特定的な時間と空間の条件のもとで、域内の国境を超えて、経済活動のコストを引き下げ、資源を有効的に配置し、さらに経済を超えた全面的協力に広がっていくものであります。従いまして、地域の一体化はグローバリゼーションという大きな流れに適応する産物であり、グローバリゼーションの無秩序のチャレンジに対処するためでもあります。
第三に、アジアの地域協力はスタートが遅かったものの、潜在力が大きく、発展が速く、たいへん良い勢いを見せております。20世紀90年代に入ってから、様々な形の地域とサブ地域協力が続々と現れ、しだいに広分野、多次元、重層的に支えられ、官民共同の望ましい態勢になりつつあります。ASEAN+中日韓と上海協力機構という二つの中心的メカニズムが深く発展し、ASEANの一体化とメコン川流域の開発が絶えず推進され、アジア協力対話機構(ACD)を代表とする汎アジア協力が頭角を現し、様々なトッラク2も日増しに活発化しています。
東アジア協力は、アジア全体のプロセスの中で最も活力あり、将来性のある部分となっています。当面、域内貿易が東アジア貿易総額の半分以上を占めており、域内投資が東アジア外資誘致総額の三分の二を占めておりまして、新たな域内の産業、投資と貿易の循環が形成されつつあります。1997年以来、年に一度のASEAN+中日韓会議が定期化し、17の分野が展開され、48の協力メカニズムが確立されました。そのうち閣僚級が14で、各種の協力プロジェクトが100を超えています。昨年末にラオスで行われたASEAN+中日韓首脳会議においては、さらに一連の新しい重要な成果があげられ、東アジア共同体の確立や今年末に第一回東アジア首脳会議の開催などが合意されています。これは東アジア協力が全面的に推進される新たな段階に入ることを意味し、必ずや東アジアひいては世界の政治経済の構図に深遠なる影響を及ぼすでしょう。
今回のインド洋津波の災いを前に、アジア諸国は困難を分かち合い、助け合う精神を見せ、中国、日本、韓国が全力を挙げてアジアの被災国を支援しています。中国で昔から「禍は福の依る所、福は禍伏する所なり」と言われています。日本流にいえば、災いを転じて福と為すであります。この津波は東アジア諸国の結束を強化し、域内の協力を深めるのに新たな原動力となるでしょう。
東アジア協力は創造的な道を歩みだし、一連の有益なパータンや成功した経験をもっています。これらを真剣に総括し、そして引き続き堅持し、完備していく必要があります。
一つ目は、経済協力を中心と先導とすること。東アジア諸国は社会制度が違い、文化背景が異なり、歴史的恩讐や現実的利益が入り交じっています。このような多様性に富んだ地域において協力を推進するには、ともに関心をもつ分野から手をつけなければなりません。それは経済協力です。
わずか数年間のうち、域内諸国の署名済みと協議中のFTA取り決めが40を超えており、FTA協力のネットワークが一応の規模にのぼっています。金融の面では、東アジア諸国の間で16の二国間スワップ取り決めが結ばれており、その額が365億米ドルに達しています。アジア債権基金一期目の10億米ドルプロジェクトはすでにスタートし、二期目の協力も推進されています。そのほかに、東アジア諸国は農業、情報、エネルギーなどの分野における協力を大きく発展させ、衛生、環境保全、社会保障、教育文化などの面における対話と協力を全面的に展開しています。経済協力は域内の国々の経済的絆を強化し、しだいに政治的信頼をも醸成しております。それをもって、東アジア協力が徐徐に政治と安全保障の分野へと広がっております。政治対話が進められ、そして非伝統的安全保障の対応に着手して、すでに国境にまたがる犯罪対策、テロ対策、災害防止などの分野における協力のメカニズムが次第に形成されています。
二つ目は、ASEANの主導的役割を尊重し、配慮すること。東アジア諸国は国の大きさや経済力の面で、大きな格差があります。中小国の人たちが地域協力のプロセスの中で、マージナイストされ、脇役化されることを心配しています。このような懸念は自然なもので、域内の大国としてはASEANの主導的役割を支持することによって、この面の疑念や抵抗をできる限り解消していく必要があります。東アジア協力はそもそもマレーシアのマハティール首相の構想から生まれたもので、これまでにASEAN+中日韓とASEAN+1の形で推進され、実際にはASEANがずっとその中で主導的地位を占めてきました。先ほど申し上げたように、東アジア共同体の建設でみんな合意しましたが、比較的現実的なロードマップは恐らく、ASEAN自身の一体化プロセスが一歩リードする態勢が保たれ、ASEANの経済、安全、社会という三つの共同体の確立が東アジア共同体の推進より先行することになると思います、それと同時に、中日韓という北東アジア三カ国がこの全体の枠の中でますます重要な役割を果たしていくことができます。
三つ目は、域内外の各種メカニズムが並行し、良き連動となること。東アジア協力は10+3首脳会議、三つの10+1会議及び中日韓首脳会議などのメカニズムをカバーしており、そのほかに、メコン川、図門江、環日本海、環渤海、環黄海など多くのサブ地域メカニズムがあります。東アジア協力は事実上、10+3をベースにして、各サブ地域メカニズムを奨励し、地域一体化の整合を次第に実現しています。また、東アジア協力は開かれた地域主義を堅持し、排他性を持たず、特定な第三者と対立しないことも必要であります。そのため、東アジア協力は、アジア太平洋経済協力機構(APEC)、アジアヨーロッパ会議(ASEM)及び東アジア・ラテンアメリカ協力フォーラム(FEALAC)等を含む地域にまたがるほかのメカニズムと協調して、互いに参考し合い、優位性を補いあい、共同発展に取り組んでいくことが望ましいでしょう。
四つ目は、新しい地域秩序とグローバルガバナンスを探っていくこと。東アジア協力は平等な対話、互恵ウィンウィン、開放と包容を強調しています。本地域の多様性を尊重し、その優位性を生かし、多様性的発展をはかっています。また、各国の主権が確保されるもとで、集団的協調と多国間主義に取り組んでいます。これらのやり方は伝統的な現実主義と違っており、様々な新保守主義と新自由主義とも区別しております。実際には世界の多極化と経済のグローバル化に適応できる新しい理念と秩序を探求しており、発展モデルの多様化と国際関係の民主化という時代の要請に合致し、今後の東アジア及び世界的ガバナンスに積極的かつ深遠な影響を与えるでしょう。
私がお話をしたい二つ目のテーマは、中日両国はいかにして域内協力を推進していくかについてです。
東アジアの平和と発展は、東アジアすべての国々の願望であり、各国がともに努力しなければなりません。中国と日本は本地域の大国であり、両国の国内総生産(GDP)は東アジアの83%、人口は70%を占めており、東アジア今後の進路に非常に大きな影響を与えるに違いありません。これから東アジア協力が推進され、共同体の目標を順調に実現するには、まずASEANが着実に主導的役割を発揮することでありますが、それと同時に、中日両国がどのような政策を取るのかも日増しに重要性を増し、場合によっては肝心な役割を果たすことになるでしょう。この面においては、中日両国は次の三つの課題に直面しているように思います。
第一は、中日関係の健全かつ安定的な発展が実現できるかどうかであります。
中日両国はお互いに重要な隣国であり、中日関係はわれわれどちら にとっても極めて重要な二国間関係の一つであります。歴史の経験が立証しているように、中日関係の進路は常にそれぞれの発展に大きな影響を与えています。ここ数年来、中日関係は前進を保ちながら、問題も絶えず起こり、双方の摩擦と矛盾がいくらか増えています。これに対して、われわれは冷静に分析し、正しく判断する必要があります。
一部の問題は意思疎通と相互理解が不十分によるものであります。中日両国の交流が増える一方で、それぞれが発展し変化もしております。双方がいかにして絶えず変化している相手のことに適応するかという問題を終始抱えております。一部の誤解は誇張な報道で対立を招いています。それで、対話の強化を通じてこのような状況を解消していけると思います。
一部の問題は中日関係の政治基盤に関わっています。かつての軍国主義の対中侵略の歴史にどう対処するか、台湾問題をどう善処するかがあげられます。これらの問題の処理に関しては、中日の間では豊富な経験を積んでおり、一連の共通認識を得ております。特に、双方は「中日共同声明」、「中日平和友好条約」及び「中日共同宣言」を通じて基本原則を定め、明確な規定を策定しております。この三つの文書には両国の先輩たちの大きな心血が凝縮されており、いかなる状況の下でもしっかり守る必要があります。
また一部の問題は両国各々の実際の利益に関連しています。これらに対しては、隣人同士の付き合いで、お互いに尊重し合い、配慮しあい、対話と協議を通じ、冷静に善処する方が宜しいのです。大事なのは、これらの問題で両国関係の大局に影響を及ぼすことを防ぐ必要があります。
中日関係の行方は、われわれ両国国民の根本的利益に影響を与えるだけではなく、東アジア協力のプロセスにも直接影響していくでしょう。その意味で、どの角度から見ましても、われわれは中日関係を健全発展の軌道に戻すようにに努力しなければなりません。
第二は、お互いに排斥せず相互協調を築くことができるかどうかであります。
中日双方が東アジア協力の中で主導権を争っているという議論があります。これは誤解です。
まずは、ASEANがこれまでずっと10+3会議の組織者及び調整者であり、これは東アジア協力の特色であると同時に、各国の現実的かつ賢明な選択でもあります。中国は引き続きASEANの主導的な役割を支持するつもりであり、日本にも同じような態度を取ることを信じております。
もう一つは、中日両国は地域協力において相互補完的な関係にあります。中国の優位性といえば、一つ目は、地理的に東アジアの真中に位置し、20近くのアジアの国々と隣接し或いは海を隔てる隣人であり、わりあい深い地政的、文化的繋がりがあること。二つ目は世界最大な市場ともっとも豊富な労働力資源を有すること。三つ目は科学技術と工業開発のレベルが東アジア地域の発展途上国のニーズに比較的に適うこと。日本の優位性といえば、一つ目は経済規模が東アジアの60%を占め、豊かな資金と高い技術力をもっていること。二つ目は東アジア諸国との間で産業の分業や貿易と投資において伝統的なつながりを持っていること。私たち双方は東アジア協力の中でそれぞれの優位性を発揮し、お互いに補完しあい、促進しあい、その他の国々とともに互恵ウィンウィンの関係を求めていくことが完全にできると思います。中国はこのプロセスにおいて、日本との協調と意思疎通を強化していくつもりであります。
東アジアの枠組みの中で、中日双方が協力できることはたくさんあります。
一つはエネルギー協力。中日両国の石油消費量がそれぞれ世界の第二位と第三位であり、輸入量が世界の第三位と第二位であります。域内の最大なエネルギー消費国と輸入国として、両国は政策の面において協調を強化し、北東アジアエネルギー協力枠組みの構築にイニシアチブを取り、域内のエネルギー協力を推進する必要があります。
二番目はFTA 協力。中日韓三ヶ国の FTAに関する学術研究がすでに進展を見せており、これからは政府がもっと参加して、次第に政策のレベルに推し進めることを期待しております。それと同時に、中日間のFTAに対する日本経済界と学術界の関心も大きくなっております。日本経済社会総合研究所の最新の研究によれば、もし中日がFTAで合意した場合、日本経済に対する押し上げ効果が最も大きいです。中日両国の対外貿易額を合わせると、東アジア貿易総額の半分以上を占めており、東アジア自由貿易ネットワークが築けるかどうかは、最終的には大いに中日のFTAの進展にかかっています。日本政府にはまだ中日FTAをスタートさせるタイムテーブルがありませんが、双方は少なくともそのF/Sを始めたらどうかと考えています。
三番目は環境保護協力。中日両国は一衣帯水であり、環境がお互いに影響しあっています。日本は環境保全の面においては大きな成功を収め、豊富な経験を積み重ね、成熟な技術を育てて来ました。中国政府は科学的な発展のコンセプトから、日増しに環境保全を重視し、これを重要な国策の一つとし、日本と全面的に協力する用意があります。これはもっとも典型的なウィンウィン分野であり、大いに成果の出せる分野であります。
もう一言触れたいのは、東アジア協力はまず地政的協力の概念であり、域内諸国がおのずから主力となるわけですが、同時にその他の国々が本地域と様々な繋がりがあることも留意しなければなりません。例えば、アメリカが東アジアにおいて、伝統的な影響と利益をもっています。これは客観的現実であります。われわれは地域協力の一般的なルールでことを運ぶとともに、そういう国々との対話と協調をも重視し、絶えずお互いの利益の接点を探求し拡大していく必要があります。
第三は、中日がそれぞれどのような地域協力の戦略を取るかであります。
中国の立場言うまでもなく、地域協力に積極的に参加することであります。政策面においては、中国は地域協力を域内各国との二国間関係と同様に重要な位置付けをしており、このような政策を確立したのは主に次のような考えがあります。
まずは、中国の外交政策自身の発展と変化に密接にかかわっています。中国がより全面的、より深く国際社会とリンクするにつれて、中国の外交は日増しに本国利益の追求と本地域ひいては世界の共通利益と結びつけることを重視し、中国の発展を世界の流れ及び時代の進む方向と一致させるよう努力しております。アジアにおいては、われわれは中国の発展をアジア振興の中で考えております。今、中国と東アジアの国や地域の貿易はすでに中国貿易総額の60%に達し、関係国や地域の中国に対する投資もすでに中国が引き受けている年間外資総額の60%以上を占めています。昨年中国はアジア最大の輸入市場となり、アジアからの輸入額が年間40%以上伸びており、アジアに対する直接投資と吸収合併額も大幅に伸びております。「中国特需」はすでに多くの国々の経済発展の重要な原動力となっています。言い換えれば、中国の利益はアジアの国々の根本的な利益と一致しております。このため、中国のアジア外交は、おのずから地域協力に積極的に参加する内容が含まれております。
次に、地域協力の推進は中国が取っている「善をもって付き合い、隣国を仲間と見なす」という近隣政策の充実と発展であります。近年来、中国は今までの善隣外交の上で、さらに善隣、安隣、富隣(隣国と友好的につきあい、隣国と安定した関係を作り、隣国とともに豊かになる)という政策目標を打ち出しました。その目的は平和安定、善隣友好、共同発展の周辺環境をつくることです。われわれは二国間往来だけではなく、地域協力をも通じてこの目標を達成しようとしています。
そのために、中国は率先してASEANとFTA作りをスタートさせました。交渉の中で中国はできるだけ大局的見地から、ASEANの関心を配慮し、ひいてはASEANに利益を譲るようにしています。昨年末、中国はASEANと貨物貿易協定を締結し、投資とサービス協定の交渉もいま急いでやっております。中国はまた率先して「東南アジア友好協力条約」に加盟し、法律の形でASEANとの善隣友好政策を保障することにしました。また、中国は率先してASEANと戦略的パ―トナーシップを築き、非伝統安全分野の協力を展開することを主張しております。われわれは東アジア共同体の目標に賛成し、東アジア首脳会議の開催を支持します。さらに東アジアのFTAネットワークの建設を主張し、地域的投資実体、債権市場そして金融協力システムの設立を支持します。東アジアの安全対話と協力を拡大し、社会、文化と人材の交流と協力を促進していくことを希望します。
日本の地域協力戦略については、学術界においてさまざまな議論が存在することを承知しています。今までの国際的な実践でもいくつかの異なるパターンを示しております。
たとえばイギリスパターン。イギリスはヨーロッパの一員ですが、長きにわたり戦略的選択としてアメリカとの同盟関係を主とし、事実上欧州の一体化プロセスと一定の距離を保ってきています。
或いはフランスとドイツパターン。歴史を深く反省し、ファシズムと徹底的に決別したことを踏まえて、両国が仲直りをして、石炭、鉄鋼連盟から始まり、しだいに欧州を自由貿易地域、関税同盟、市場統合、通貨連盟、さらに政治連盟へと推進してきました。
もう一つは南アジア連盟パターン。南アジア連盟はアジアで最初に発足した地域協力組織でありますが、域内の主要国が互いに競り合い、牽制し合うため、長年来、地域協力の推進が難しく、なかなか大きな進展が得られていません。
私の知っているところでは、日本の外交戦略は日米同盟、国際協調、そしてアジア協力という三つの柱からなっております。この三つの間に関連もあれば、重点もあります。肝要なのは日本が地域協力のことを自国の外交戦略のどの部分に位置付けるか、あるいはどうやって日本の当面の利益と長期的な利益をよりよく結びつけるかであります。近年来日本は日増しに東アジア協力を重視するようになり、多くの建設的活動を行っております。たとえばASEANとのEPA協定の締結、「東南アジア友好協力条約」の加盟、東アジア開発閣僚会議の開催、ASEAN新規加盟国への経済援助の強化、さらに津波被災地域に巨額の義援金の提供などがありますが、われわれはこうした日本の積極的な措置を評価します。日本はすでに東アジア共同体委員会を発足させ、早稲田の皆様を含む有名な学者たちは、東アジア協力にたいへん関心をもち、少なからぬ先見的発想や知恵を出しております。日本の友人の皆様が時代の推移に適応し、日本の根本的利益に合致し、同時に国際社会特に周辺諸国から理解され、支持される道を必ずやみつけられると信じています。
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