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2006年度日本華人教授会議総会・記念国際シンポジウム(5月28日)における王毅大使の講演
2006/05/28

 

    日本華人教授会議は日本と中国の間の重要な橋渡しのひとつでありますので、毎年シンポジウムを開いておりますが、私はできるだけ参加するようにしています。

    今回のテーマを見まして本当にすばらしい問題提起だと思っております。「東アジアの調和社会」といいますと、実は去年から今年にかけまして、中国の新しい指導部は熟慮の上二つの重要で前向きな理念を打ち出しました。そのひとつは中国国内において調和の取れた社会を作る、二つ目はそれを踏まえて世界に向けて共に調和の取れた世界を目指すという二つの調和−国内の調和社会と国際の調和世界という二つの理念を出しまして、今、国際社会に反響を呼び起こしています。

    なぜ中国の新ししい指導部が調和の取れた社会という理念を出したかといいますと、皆さんもご存じのように中国の改革開放が27年過ぎまして、もちろん大きな歴史的な進歩を遂げたわけでありますが、同時にいろいろな問題をも抱えるようになっております。

    一つ目の問題は経済成長パターンの問題です。今まで中国の経済発展はどちらかというと、大量に投入をして大量に消耗するというタイプだったのですが、これがこのままでは難しくなっていることが大きな問題です。二つ目の問題は、高度成長の中でいろいろなアンバランスの問題が出てきたわけであります。三つ目の大きな問題はやはり農村問題です。中国はまだ大きな農村人口を抱えており、農民・農村と農業をどうするか、これは中国の長い将来にかかわる重要な問題であります。少なくともこの三つがわれわれが抱える課題であります。

    そこで、新しい指導部が国民の知恵を集めまして、はっきりとした解決の方向性と対策を出したわけであります。

    一つ目の方向は、今までの経済成長のパターンを変えて、省エネルギー・環境保護・循環型の経済の成長にシフトしていきます。そのためにいろいろな政策を実施し練っている最中でありますが、皆様ご存じのように、たとえばこれからの5年間、高度成長を維持しながらエネルギーの消耗を2割カットします。これは中国の経済発展を見ると革命的な変化だと私は受け止めています。

 やればできるということもありますけれども、中国政府は全国の国民レベルのコンセンサスを得てこういう方向転換を出しておりますから、皆がこぞってやりますとやれないことはないと思っています。 そして、これはたった第一歩でありますので、これが実現しますと、もっと大きな目標が掲げられると思います。

 二つ目の大きな方向転換といいますと、いろいろなアンバランスが出ておりますので、それを解消あるいは緩和していくために、バランスの取れた発展を目指していきます。GDPの成長は重要ではありますがGDP成長至上主義ではいけません。GDPを増やしながら社会の発展、たとえば教育の振興あるいは社会保障制度の確立、あるいは教育の普及、あるいは失業対策の構築、あるいは皆さんが住んでいる都市、水や空気がどうなっているかなど、むしろ社会の発展面にこれから力を入れていく、それによって、5つのアンバランスを緩和していきます。

    この5つのアンバランスとは、一つは、沿海部と中西部、二つ目は都会と農村、3番目は経済成長と社会発展、4つ目は人間と自然、最後のひとつは中国自身の発展と世界の発展で、これらのアンバランスを協調していくように努力していきます。これに対する政策ですが、たとえば、これから中国のインフラ建設を沿海地域ではなく中西部のほうに回していきます。

    3つ目、農村問題の解決の方法としては、新しい農村を作る運動をこれから展開していきます。たとえば広範な農民に対して農業税を免除します。そして、農民の子供の学費を免除します。いずれも国から財政支出をしてこれを補います。これによって農民の生活を向上させ、農民の購買力をつけていきます。農民の購買力があって始めて中国の内需が続き、それを踏えて中国の高度成長が支えられていくのですから、農村の問題を解決することは単なる貧困の撲滅だけではなく、中国のこれからの長期的安定的発展にもつながっていく、大きな基本的な課題であります。

    少なくともこの三つの方向転換によって、ひっくるめていえば、調和の取れた社会を作る。私なりにもっと簡単な言葉でこれから中国の行方を言いますと、量から質へ、これは経済だけでなく生活の面でもいろいろな面での量から質へ。二つ目はモノから人間へ、要するにモノに注目してきたことから人間本位に。三つ目は外から内へ、つまり外需たよりよりも内需をもっと掘り出していくということです。世界最大のマーケットを持っておりますから、これを現実にしなければなりません。そして、その可能性は十分にあると私は考えております。

 ですから、中国のこれからの目標−調和の取れた社会は、国民がこぞってがんばっていけば必ず実現できると思います。調和の取れた中国の社会を作るということは中国の国民だけではなく国際社会に対し、とりわけアジアの隣国に対して大変良いこと、利益をもたらすことになると考えております。

 中国自身の調和社会を作るということを踏まえて、できれば国際社会が一緒に調和の取れた世界を作る。調和の国際社会を・目指すとなりますとこれはもっと大きな複雑な問題ですけれども、同時にもっと大きな課題であり、これから大いに議論していきたいと思っておりますが、基本的には国際社会のコンセンサスで作られたルールに従い、人類の普遍的な価値観を堅持しつつ異なる文化、宗教、文明、社会体制をお互いに尊重しあい、お互いに認めあいそして平和共存していく、これがその核心的な内容の一つではないかと考えております。

 異なる体制・文化をお互いに尊重しあうということになりますと、われわれの置かれている東アジアという地域は最も多様性に富んだ地域ではないかと思います。この東アジアの中には大きな国もありますし小さな国もあります。大変豊かな先進国、日本のような国もありますし、貧しい国もあります。異なる社会体制、宗教文化もこの地域に共存しています。ですから調和の取れた世界を作るに当たり、このスローガンに書かれているようにまず東アジア、アジアでこの理念を現実的なものにしていくことが、われわれ共に努力する目標ではないかと考えております。

    東アジアの多様性は東アジアの発展の障害ではなくて、むしろ原動力となるわけです。したがって、東アジアの国々は一緒になってこの多様性を尊重し、多様性の優位性を生かして、多様な発展を目指していきます。

    いろいろな地域協力のパターンがありますが、東アジアは東アジアにふさわしい地域協力のパターンをこれからわれわれが作っていく責任があると思います。そして、異なる国、文化、体制が平和共存していくことにとどまるのではなく、さらに一歩進んでお互いに長所を取りいれ、勉強し合い、双方がウィンウィンの方向に持っていくことが必要で、これがまさに東アジア協力の真髄であると思います。

    そうなりますとまさにこのシンポジウムの主な内容−省エネ・環境保護方面の協力からはじめることがお互いの利益にあうのではないかと思います。特に日中の間にその需要が現実的に存在するわけであり、まさに省エネ・環境保護がこれから大きな潜在力のある協力の分野になると確信いたしております。

    なぜかといいますと、ひとつは中国政府の政策がこれから省エネの方向に向かうということがはっきりしております。二つ目はこの省エネ・環境保護の協力は結局、日本の利益にもつながっていく、水にしても空気にしても黄砂にしても、まさに運命共同体のような環境ですから。三つ目は省エネ・環境保護はこれ自体が大きなマーケットであり、大きなビジネスチャンスでもありますので、この協力を推進しますと日本と中国の新たな協力の分野が切り開かれるのではないかと思います。

    その意味で、ちょうどこのシンポジウムと同じ時期に、明日から東京で日本と中国の初めての大型の省エネ・環境保護のフォーラムが開催されます。これは昨年からアイデアを出しまして準備してきたのですが、日本と中国の間で大変大きな反響を引き起こしまして、中国の方から250人以上が日本に入り、日本側は550名以上の方が参加いたします。申し込まれた方が多すぎて入りきれないほど皆さんが省エネ・環境保護に関心があることがわかります。そのフォーラムは単なる議論だけではなく、各業種、たとえば鉄鋼、電子、セメント、自動車等業種に分けて、メーカー同士が具体的な商談にも入ります。ですから、このフォーラムは必ず日本と中国の省エネ・環境保護の協力に大きな推進力になると思います。その意味では、皆様のシンポジウムは中国の省エネ・環境保護という大きな事業の一つの前触れではないかと思われます。ですから皆様の努力と貢献に心から感謝をしたいと思います。ぜひこの大きな事業のために一緒に努力していきましょう。

    どうも、ご静聴、ありがとうございました。

 

 



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