| アジアの振興と中日両国の共通の責任――呉儀副総理の国際シンポジウム「アジアの未来」における講演 |
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(2005年5月23日 東京にて) ご臨席の皆様 今回のシンポジウムに出席して、皆様と共にアジアの未来を展望し、アジアの平和、発展と協力の大計を検討する機会に恵まれたことを大変嬉しく思っております。 アジアは人類文明の揺籃の地です。長い歴史の流れの中で、私たちの先輩は勤勉さと英知によって、輝かしい東洋文明を生み出し、人類の進歩に優れた貢献をしました。 アジアは大きな苦難と挫折も経験しました。逆境の中で、アジア人民は不とう不屈の精神で、発奮して富強をはかり、100年近く血を流して戦ったすえ、前世紀半ばに再び民族の解放と国家の独立を勝ち取りました。 前世紀後半から、アジア各国は次々に経済発展を優先させ、人民の生活を改善する道を歩み、世界が注目する経済発展の成果を収め、近代化の道を歩みました。アジアはいまや世界で経済成長が最も速く、最も活力と潜在力のある地域になっています。 幾多の辛酸をなめたアジア各国の人民は、平和の尊さと発展の重要さをよく知っています。正反両面の経験が教えているように、平和と発展はアジアの振興をはかるための車の両輪です。平和と発展がなければ、アジアの振興は話になりません。平和と発展、互恵と共に勝者になるというウィンウィンの関係を堅持してはじめて、アジア諸国には一層すばらしい未来が開かれるのです。 大変喜ばしいことに、アジアの平和と発展はいま歴史的チャンスを迎えています。経済のグローバル化と地域一体化のすう勢が深まり、科学技術が日進月歩で、各種生産要素と産業の移転が加速し、アジア全体の発展に有利な環境をもたらしています。豊富な資源、広大な市場、経済発展の経験は、アジアの振興の強みになりつつあります。アジア諸国の対話と協調の意識がたえず強まり、各国の相互依存が深まり、地域協力の機運が起こりつつあり、これらすべてのことがアジア諸国の協力とウィンウィンの関係の堅固な基礎を築いています。 私たちはまた、アジアの平和と発展が諸々の挑戦を受けていることも認めなければなりません。アジアはさまざまの矛盾と問題が集中した地域であす。歴史的に残された領土、民族、宗教紛争はいまなお国家間の相互信頼と協力を制約しています。地域紛争が繰り返され、テロなど非伝統的安全保障の脅威は増大の一途をたどり、地域の平和と安寧に影響を与えています。貧富の差の拡大、生態環境の悪化、自然災害の頻発、伝染病の広がりは、いずれもアジアの発展にとって脅威となっています。 時代の流れに従って、発展のチャンスをとらえ、挑戦に適切に対応し、平和で、安定し、発展、繁栄する、調和したアジアの実現のために努力することは、アジア各国の共通の課題であり、アジア各国が共同で担うべき歴史的責任でもあります。 ご臨席の皆様 中国は世界で最大の発展途上国であり、アジアで最大の経済体の一つとなっています。経済のグローバル化と地域経済の一体化がますます進むのに伴い、中国経済の発展は世界経済、特にアジア経済に大きな影響を与えるでしょう。皆様の正しい理解を助けるため、この機会を借りて、中国経済の現状と今後の発展の趨勢について簡単に紹介したいと思います。 周知のように、鄧小平氏の提唱で、中国は1978年から国内改革、対外開放の基本的国策を実施し始めました。この20年余り、中国経済に大きな変化が起こりました。1979年から2004年まで、GDP、国内総生産は年平均9・4%、消費財小売総額は年平均14・6%、輸出入総額は年平均16・7%で増えました。2004年のGDPは13兆6800億元、約1兆6400億ドルに達し、世界7位となり、ハイテク製品およびサービス業の占める割合が拡大しました。消費財小売総額は5兆4000億元に達しました。対外貿易総額は1兆1000億㌦を超え、世界第3位の貿易国となり、うち輸入総額は5614億ドルでした。2004年末の中国の外貨準備は6099億ドルに達しました。外資による直接投資の利用実績は5600億ドルを超え、多くの業種、分野に及び、現在、業務を行っている外資系企業28万社余りのうち、3分の2以上が利益をあげ、1990年から2004年までに外国側出資者は2500億ドル余りの利益を送金しました。中国は自国の経済を発展させると同時に、責任ある国家として、アジア各国との経済・貿易の交流と協力を強化し、アジア経済の繁栄と発展に貢献しました。特に1998年のアジア金融危機では積極的役割を果たしました。現在、中国とアジア各国の経済・貿易交流はたえず深まり、協力の分野がますます広がっています。とりわけ喜ばしいことは、近年、日本、韓国などの多くの多国籍企業が続々と中国に投資会社や地域本部、研究開発センターを設立していることです。また中国の企業も周辺国に投資し、事業を興しています。現在、中国とアジア各国さらに世界との経済融合が徐々に進み、協力の相互作用がますます緊密になり、経済の相互依存度がたえず深まっています。 同時に私たちは、中国経済は急速に発展したが、直面する困難と問題も少なくないことをはっきり見て取っています。それは主に経済構造の不合理さ、地域間の不均衡、経済発展と環境および資源開発・利用との際立った矛盾などに現れています。中国政府は、経済発展の過程で、市場経済の法則に従うだけでなく、自然の法則、社会の法則に従い、さらに国際ルールに従って物事を進めなければならないことを強く認識しています。今世紀初め、私たちは人間本位の、全面的で、つり合いがとれ、持続的発展が可能な科学的発展観を打ち出しました。その重点は5つのことを「統一的に考える」ということです。つまり都市と農村の発展、各地域の経済発展、経済と社会の発展、人と自然の調和した発展、国内の発展と対外開放の5つを統一的に考え、科学技術と教育による国家振興と持続可能な発展をはかる戦略を実施し、人と自然、社会、経済の全面的でつり合いのとれた発展を最大限実現するということです。このため、中国政府は主に次の6つの面で努力をしています。 第1、内需拡大の方針を堅持し、マクロ経済政策の連続性と安定性を維持し、同時に情勢の発展と変化に合わせて、政策実施の度合いと重点を適時適度に調整し、主に経済的法律的手段を使って、経済における際立った矛盾と問題の有効な解決をはかるようにしました。投資の急激な伸び、エネルギー・輸送の需給矛盾、農業と食糧生産の弱さなどの問題に対して、私たちは銀行融資と土地供給の2つをしっかりチェックし、金利、租税政策を見直し、保証するものと抑制するものを区別して、一部の業種と一部の地域にみられる経済の過熱現象を抑制しました。2004年末からは、金利、租税、土地供給などの手段を使って、不動産業の健全な発展を導きました。今年に入って、投資の伸びは着実に下がり、投資構造は一層改善されました。農業、エネルギー、電力、交通輸送、環境・生態、教育・衛生など弱い部門の投資の伸びが速くなり、鉄鋼、セメント、非鉄金属、不動産などいくつかの業種の投資の伸びが鈍化を続けました。事実が示されたように、われわれは、マクロコントロールを通じて、経済のソフトランディングを実現し、国民経済の安定的かつ急速な発展をたもつ能力を持っています。 第2、経済構造の調整を主線にして、経済成長方式の転換を速め、資源を節約し、環境を保護するようにしました。私たちは不合理な経済構造を調整し、第1、2、3次産業のつり合いのとれた発展をめざし、産業分布を次第に合理的なものにしました。粗放な経済成長方式を転換し、節約型経済と循環型経済を発展させ、資源消費と環境汚染の少ない新しい型の工業化の道を歩むよう努力しました。各種の天然資源を大いに節約し、合理的に開発し、天然林の保護、耕地を林地や草地に戻す事業および大気や水質の汚染対策事業を実施し、生態環境を保護し、経済発展の速度を構造、質、効率と統一し、経済成長を人口資源や環境に合わせるようにしました。中国は二つの資源と国内と海外という二つの市場をいかし、収入源の増加と支出の節約に取り組み、新しいパタンの工業化の道を歩み、資源がニーズにこたえられ、環境と生態系を保護するようにします。 第3、都市と農村および地域間の経済のつり合いのとれた発展をはかるようにしました。私たちは農業、農村、農民の「3農」問題を解決することを引き続き経済運営の重点中の重点とし、農業への投資を増やし、農業の生産条件を改善し、農業の増産をはかりました。農村の公租公課改革を深め、引き続き農民の負担を軽減し、農民の所得を増やしました。都市・農村の二元経済構造体制を改革し、農村の近代化を加速し、農村の人口が穏やかに、混乱なく都市部に移るようにし、都市と農村の差を一層縮小しました。私たちは東南の沿海地区が発展を速め、全国に先駆けて近代化を実現するよう求めました。引き続き西部大開発戦略を実施し、特色ある経済を発展させ、産業分布を適正にしました。東北地区など古い工業地帯の振興と中部地区の勃興を積極的に進めて、地域間の経済のつり合いのとれた発展をはかりました。都市部と農村部、地域間の経済的格差は次第に縮小され、国民経済の発展を決して阻害することはないと予言できます。 第4、改革・開放を堅持し、経済と社会の発展のための持続力を与えるようにしました。私たちは地域的封鎖や業界の独占を大いに打破し、全国の統一市場づくりを速めると同時に、引き続き行政管理体制改革を推進し、行政審査・認可をさらに減らし、行政事務の公開を実行し、法に基づく行政を堅持し、国内外の投資者のために、統一的で、秩序ある、公正、透明で、予測可能な市場環境を確保しました。引き続き投融資体制の改革と金融体制の改革を推進し、積極的にしかも穏やかに資本市場の開放を進め、国内外の投資家に安定した、安全な投融資ルートを提供しました。 第5、統一的に計画し、全般的に配慮して、社会事業の発展を速めるようにしました。経済を発展させると同時に、私たちは農村の貧困対策のための開発事業を繰り広げ、雇用の増大、社会保障制度の整備を重視し、都市や農村の困窮者の基本的生活問題を解決するよう努力しました。9年制義務教育を大いに普及させ、新しい型の農村協同医療と都市の医療体制改革を推進し、都市や農村の大衆の教養水準と健康水準を高め、社会の安定を保ち、調和した社会主義社会を構築します。 第6、国際ルールに従って物事を進め、対外貿易と経済協力を促すようにしました。世界貿易機関WTOに加盟した後、中国は諸々の約束を真剣に実行し、2500余りの法律・法規を改正し、WTOのルールに合致した対外経済・貿易法律体系を作り上げ、国際的ルールと慣行に従って、外資を導入し、市場を開放しました。同時に中国企業が条件のある国や地域に投資し、事業を経営することを奨励し、貿易摩擦を適切に処理し、世界各国および地域との経済・貿易交流と協力を促しました。中国政府はまた、知的財産権の保護に力を入れ、私を班長とする国家知的財産権保護作業班を設立し、知的財産権の保護を強化し、知的財産権侵害行為に対する刑事処罰を行いやすいようにしました。 私たちは、科学的発展観を堅持し、マクロコントロールの方向、時機と程度をうまく加減し、体制・仕組み、経済構造および成長方式など、長期的全体的発展にかかわる深層部の矛盾や問題の解決を速めれば、必ず長期間にわたってわが国の経済の安定した速い発展を維持でき、アジアさらには世界の経済発展により大きく貢献できると確信しています。 今世紀初めの20年間は、中国の経済・社会発展の重要な時期で、2020年までに、中国の国内総生産は4兆ドル余りに、輸出入総額は2兆ドル余りに達し、30近い原子力発電所などのエネルギー、交通インフラが整備される見込みです。中国の今後の発展は、アジアと世界の各国に巨大な市場とビジネスチャンスを提供するにちがいありません。私たちはアジア各国との経済・貿易交流と協力を一層強め、共にチャンスをつかみ、互いに補完しあい、互恵とウィンウィンをはかれるよう期待しています。 ご臨席の皆様 中国は発展途上の大国です。私たちは前進途上で直面する困難や試練について冷静な認識をもっています。またさまざまな困難と試練を克服する自信をもち、小康社会(わりあいゆとりのある社会)の全面建設という目標に向けて努力しています。グローバル化と地域経済一体化の傾向が加速している現在の時代背景の下で、中国の発展にはアジア各国との協力が欠かせず、またアジアの振興と繁栄には中国の発展が欠かせません。アジアの一員として、私たちは自らがアジアの地域協力のために歴史的責任を負い、アジアの平和と発展のために崇高な使命を担っていることをよく認識しています。私たちはアジアの諸国と一致協力して、共通の目標のために貢献することを願っています。 アジアは多様性に富み、活力に満ちた地域です。いかにして域内諸国がお互いの違いを越えて、それぞれの政策目標を共同の発展と繁栄という大きな目標の下に結集させるかは、アジアにとって小さからぬ試練であります。私はこの目標を実現するためには、多国間協力、地域経済一体化で成功した他の地域の経験を学び、参考にするとともに、アジアの特徴に十分配慮し、アジアの実情にかないアジアの特色をもつ一体化の道および一体化のプロセスを導く原則と目標をもつべきだと考えます。この原則と目標についていくつかの見方を示して、皆様と一緒に検討したいと思います。 第1、アジア意識をもち、団結と協力を強める。アジアは私たち共通の古里で、アジアの未来は私たちの共通の運命に左右します。アジアの大家族という意識と考えをもち、アジアの振興を自らの任務とし、引き続き地域の一体化を進め、利益の融合度をたえず深めることは、私たちが共に追求すべき崇高な理想であります。アジア各国の発展は地域一体化のプロセスと結びついてはじめて保障され、それではじめてアジアの繁栄と振興が現実になる可能性が生まれ、アジアは平和と発展という時代の潮流の中で主導権を獲得し、発展の活力をいつまでも維持することが可能になるのです。そのためには各国の政治家の遠見卓識(遠い見通しと優れた見識)が必要で、各国政府の明確な政治的意思と強力な政策面の支持が必要で、また民間企業や機関の力強い協力が必要で、各国人民の積極的支持が必要です。 第2、政治的な相互信頼を強め、お互いの関心に配慮する。アジアには歴史的に残された問題が多く、さまざまな矛盾が複雑に絡み合っています。私たちは国連憲章と平和共存5原則を踏まえ、小異を捨てて大同につき、平等に話し合い、仲良く付き合うべきです。歴史的に残された問題と現実の利害衝突を適切に処理し、国家間の協力にふさわしい条件と雰囲気を整えるべきです。各分野の交流と対話を増やし、相互理解を深め、人民の間の友情を増進し、協力の社会的基礎をしっかり固めるべきです。こうしてはじめて、アジアのなごやかで、ゆとりのある協力の環境づくりに私たちの行動を統一することが可能になり、共にアジアの繁栄・振興をはかるという大きな目標に力を結集することが可能になるのです。 第3、安全保障観を改め、平和と安定を守る。アジアにはなおいくつかのセンシティブナな焦点の問題があります。私たちは冷戦思考を捨て、相互信頼、相互利益、平等、協力を中心とする新しい安全保障観を確立し、平等な対話を通して矛盾を解消し、友好的な話し合いによって争いを取り除くべきです。私たちは6カ国協議を通じた朝鮮半島の非核化実現を支持します。インドとパキスタンの関係改善の努力を歓迎します。アフガニスタンの復興のプロセスを支持します。 第4、経済・貿易主導で、全面的協力を引っ張る。地域協力を強めることは、アジアの発展の重要な方途です。私たちは柔軟で多様な方法によって、協力のルートを開拓し、協力の内容を豊富にし、各国人民に協力の恩恵を受けさせ、各方面の積極性を十分引き出すようにすべきです。引き続き自由貿易のプロセスを推進し、市場の垣根を取り払い、相互投資を促進し、平等互恵の産業協力チェーンを作り上げるべきです。それぞれの強みを生かし、それぞれが能力と長所を発揮し、金融、エネルギー、交通、農業などの分野の協力を強めて、協力の配置をより完全なものにすべきです。地域の未発達国への支援を強め、域内の格差を縮め、各協力者が歩調を揃えて前進できるようにすべきです。 第5、文明の多様性を尊重し、開放と包容を提唱する。私たちは各国の社会制度と発展モデルを選ぶ自主権を尊重し、差別と偏見に反対すべきです。文化、宗教、価値観の多様性を尊重し、異なる文明の融合をはかるべきです。広い度量とグローバルな視野をもち、他の国や地域の経験を学び、参考にし、域外諸国との対話と協力を強め、共に世界の平和と繁栄をはかるべきです。 上述の目標と原則に基づき、当面と今後しばらく、アジア諸国は3つのことに重点的に取り組むべきだと考えます。 第1、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中日韓(10+3)の協力を全面的に広げ、深める。 ASEAN+3協力は次第に東アジア協力の主ルートに発展し、ASEAN+3の枠組み内に外交、経済、財政、エネルギー、環境、文化、観光など13の閣僚級協力制度が相次いでつくられ、17の協力分野が開かれました。 ASEAN+3諸国は東アジア共同体を東アジア協力の長期目標とすることをすでに決定するとともに、今年末に第1回東アジアサミットを開くことにし、東アジア協力を新たな発展段階に進めています。これを基礎に、私たちはASEAN+3協力の今後の方向を検討する必要があります。ASEAN+3を主ルートにして、東アジア共同体建設の具体的道筋を検討すべきだと考えます。ASEAN+3諸国は引き続き経済協力を強め、主要な経済要素の自由な移動を促すことによって、経済の一体化の程度を高めるべきです。ASEAN+3協力をさらに政治、安全保障、社会などの分野に広げ、オールラウンドな協力の枠組みを作り上げるべきです。ASEAN+3協力は地域の他の協力制度と関係を結び、相互補完、相互促進をはかるべきです。 第2、中日韓協力を一層強化する。 中日韓協力は東アジア協力の重要な一部分です。3カ国の経済・貿易、情報産業、環境保護、人的資源開発および文化などの分野の協力は急速に進んでいます。一昨年、第5回中日韓首脳会議で「中日韓3者協力の推進に関する共同宣言」が発表され、昨年、第6回3カ国首脳会議で「中日韓3カ国協力行動戦略」と「中日韓協力進展レポート」が採択されたことは、3カ国の協力が徐々に深まりつつあることを示しています。 3カ国の外相は最近、京都で3カ国委員会第3回会合を開いて、3者協力の強化で新たな共通認識を得、3カ国協力の今後の位置づけについて共通の認識を得ることで合意しました。東アジア協力情勢全体の発展に合わせ、中日韓3カ国の長期的必要性を考えて、エネルギー協力や自由貿易取り決めなど大きな現実の課題について適時に実質的検討に着手することは、必要であり、条件も整っています。 中日韓3者の協力は3カ国の共同の発展に役立ち、地域の協力を引っ張り、レベルを高めるのに役立ち、アジアの平和、発展と繁栄のために建設的役割を果たしています。 第3、汎アジア協力を積極的に推進し、アジア全体の発展と繁栄を求める。 アジア協力対話(ACD)はアジア全体を対象にした政府間協力制度で、アジア諸国の相互協力強化、共同の発展追求という政治的意思を反映しています。一方、博鰲アジアフォーラムはセカンド・トラックの角度から、汎アジア協力を智力面でサポートしています。汎アジア協力はスタートしたばかりですが、いくつかの具体的分野で急速に進み、アジアの全体意識の形成を促進しました。今年4月6日、第4回ACD外相会合がパキスタンで開かれ、わが国の温家宝首相が来賓として開幕式に出席して基調演説を行い、汎アジア協力推進に対する中国の基本的政策と主張を全面的に説明しました。会合では「イスラマバード宣言」と「アジアの経済協力に関するイスラマバード・イニシアチブ」が発表されました。今後しばらく、私たちは宣言と提案の精神を着実に実行に移し、必要性と可能性に基づき、積極的・着実、漸進の原則にのっとって、既存の協力のレベルと質を高めるべきです。さらにたえず新しい協力分野を開拓、発掘し、そう長くない期間に汎アジア協力の新局面を開いて、地域のすべての構成員に協力の舞台と発展の契機を提供し、アジア全体の繁栄と振興をめざすようにすべきであります。 この機会を借りて、ASEAN+3を含む地域のさまざまな形の協力は排他的なものであるべきでないことを重ねて表明したいと思います。私たちは一貫して、地域の協力の開放性、透明性を維持し、包容性、互恵性を体現することを支持しています。地域の協力の根本的目的は互恵・ウィンウィンと共同の発展です。 アジアの協力は世界経済の一体化プロセスの一部であり、地域のすべての国の共通の願いと利益にかない、平和と発展という時代の流れに沿っており、地域の安定と繁栄の実現にとって有益です。もちろん、私たちは地域になお軽視できない問題や挑戦があり、既定の目標を実現するのは依然として任重くして道遠しであることをはっきり認識しています。私たちはこれまで通り、関係諸国との意思疎通、協調を強め、地域の協力促進のため共に力を尽くし、アジア振興という崇高な目標実現のために貢献することを願っております。 ご臨席の皆様 アジアは中日両国が長期発展と永続的繁栄を図る共通の地理的拠り所であり、中日両国の協力はアジアの平和、安定、発展の必要条件です。アジアの重要な一組の隣同士として、中日間には長い友好交流と深く厚い歴史的、文化的源があり、また近代において不幸な歴史もありました。正反両面の歴史的経験が私たちに教えているように、中日両国が平和共存し、子々孫々友好を続け、互恵協力を進め、共に発展することこそが双方の長期的、根本的利益にかない、アジア各国の共通の期待にかなうものです。 国交正常化後30余年間、両国政府と人民のたゆまぬ努力を経て、中日の友好協力関係は「中日共同声明」、「中日平和友好条約」および「中日共同宣言」という3つの政治文書の導く正しい方向に沿って、かつてない発展をとげました。昨年、両国間の貿易額は1678億ドルに達し、人的往来は435万人にのぼり、地方の友好都市は226組に達しました。こうした重要な成果は両国と両国人民に実益をもたらし、また世界、特にアジアの平和と安定、発展を力強く守り、促しました。 時代の発展、変化と共に、どのようにして得がたい歴史的チャンスを逃さず、アジアの繁栄、振興を図るかということが、ますますアジア各国政府と人民にとって緊急の課題となってきています。現在、人々は一つの問題に注目しています。それは中日両国が30年余りの平和、友好、協力の歳月を経た後、アジアの大国として、時代の潮流に沿い、アジアの繁栄と振興のプロセスの中で手を携えて協力し、そのために積極的に貢献できるかどうかということです。 私は次のように考えます。経済のグローバル化と経済一体化のすう勢が深まっている背景の下で、中日両国がそれぞれの長期的発展と末永い繁栄を実現するには、アジアに立脚し、全世界に目を向け、両国間の協力をたえず深めると同時に、アジアの協力に積極的に参加し、それを推進しなければなりません。中日双方は時代の発展と変化に積極的、主導的に対応し、地域協力の推進に共に努力し、アジアがグローバル化の競争と挑戦に立ち向かい、アジアの繁栄と振興の歴史プロセスの中で共同の発展を実現できるようにすべきです。これは時代の呼びかけであり、歴史の必然であり、中日両国が当然担うべき重要な責任であり、さらには両国政府と人民の英知と胆略、見識にとっての大きな試練であります。 私は同時に、中日両国はこうした歴史的重責を担うべきであり、担うことができると考えます。それは双方がアジアの繁栄、振興に努める政治的意思をもち、アジアで幅広く利益を共にしているからです。経済面の共通の利益は言うに及ばず、政治、安全保障面の共通の利益も同様に双方が共に関心を払い、追求すべきものです。私たちは共に対話を通じて紛争を解決し、地域の安全保障協力に積極的に参加することを主張しています。共にこの地域での大量破壊兵器拡散に反対しています。共に地域の紛争の緩和、とりわけ朝鮮半島が安定に向かうのを望んでいます。共に非伝統的安全保障の脅威を重視しています。共にエネルギーの安定供給のために力を尽くしています。私たちが生存するための自然環境の保護を共に重視しています。 周知の原因によって、中日関係の現状は満足のいくものではありません。こうした状況は双方の根本的利益に合致せず、アジアの協力という要請にかなっておらず、なんとしても早急に転換しなければなりません。中国の胡錦涛国家主席は先のアジア・アフリカ首脳会議の際に小泉首相と重要な会談を行い、両国関係の健全で安定した発展について率直に突っ込んで意見を交換しました。胡錦涛主席は、中日関係はいま多くの困難に直面しているが、中日友好を発展させる中国政府と人民の基本方針は変わっていないと特に強調しました。また現実に立脚し、長期的に考えて、両国関係を改善し、発展させる「5つの主張」を示しました。これは中日両国の幅広い分野の協力を推進しようという中国の新しい指導グループの強い意思を十分示したものです。小泉首相はこれに前向きにこたえました。現在、中日双方が抱えている重要な仕事は、共に努力し、両首脳の会談の成果を急いで実行に移すことです。私の今回の日本訪問の重要な使命の一つがそれです。 私は常に、良好で安定した中日関係はアジアの協力を促進する重要な条件であると考えています。中日両国がアジアの協力の中で真に力を発揮するには、常に「歴史を鑑とし、未来に向かう」精神を堅持し、これを踏まえて努力し、困難を克服し、障害を排除し、相互信頼を増進し、協力を強化しなければなりません。私たちは日本と共に努力し、確実な措置をとって、意見の食い違いを解消し、困難を克服し、早急に両国関係を再び健全で安定した発展の軌道にのせることを願っています。 ご臨席の皆様 アジアの恒久平和、安定と発展を実現することは、すべてのアジア諸国と人民の共通の願い、共通の事業であり、アジア各国政府と人民はそのために共にたゆまぬ努力を払う必要があります。手を携え、協力を強め、アジアの振興と繁栄の新しい局面を共に切り開こうではありませんか。 ご静聴ありがとうございました。
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