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中国西部―新たな飛躍へ

960万平方キロメートルに及ぶ中国の陸地面積のうち、約540万平方キロメートルの地域は、海岸線から遠く離れ、多くの高原や砂漠分布しているーーヨーロッパ全体の2分の1に相当する中国広大な西部地域である。

この地域には陜西省、甘粛省、青海省、寧夏回族自治区、新彊ウイグル自治区、四川省、重慶市、雲南省、貴州省、チベット自治区の10省?市?自治区がある。長江、黄河、珠江、ヤルツァンポ江、瀾滄江はいずれもこの地区に源を発している。早くも漢?唐時代(前206~907年)に、ユーラシア大陸を横断していたシルクロードの繁栄は、後世の人々に中国西部の歴史の栄光をまざまざと示している。だが数世紀を経て、度重なる戦乱や過度の開墾、気候の変化や交通の不便などの要因によって、西部地区は貧しく立遅れた地域の代名詞となりはてた。西部を開発し、中国経済の協調的発展を実現することは、中国の長年の夢である。

1990年代の初め、鄧小平は中国の総体的発展について、政治家の現実に基づいた遠大な見識をもって、「2つの大局」という地区発展戦略を提起した。すなわち、比較的しっかりした経済基盤をもち、科学教育も発達し、対外開放に有利な東南沿海地区を先に発展させて、中国の発展が一定段階に達した時期に、全国は総力を上げて西部地区の発展を支援する。東部の資金、技術、経験、人材を西部の資源と結びつければ、西部地区は予想を超えたスピードで発展できる、というものであった

1999年6月17日、西部地区を視察した江沢民総書記は、「世紀交替という歴史的チャンスを捉え、西部地区発展のテンポを速めよう」という構想を打ち出した。同年11月に開かれた中国共産党中央経済工作会議で、西部に対する大開発の実施という戦略が決定された。その後直ちに、朱鎔基総理をリーダーとする17人の部長クラスの政府高官を含む西部地区開発指導グループが設立された。こうして、中国の将来の経済発展に重大な影響を与える戦略的調整は、新世紀の曙光とともにその幕が切って落とされた。

中国の西部地域は西北部と西南部に大きく分けられる。西北部は陜西省、甘粛省、青海省、寧夏回族自治区、新彊ウイグル自治区の3省2自治区からなる。大西北とも呼び慣わされるこの地域は、中国国土総面積の3分の1に相当するが、人口は少なく、全国の10分の1足らず。中国で最大面積、最少人口の地区である。かつてあまりにも有名なシルクロードが貫いた大西北はもはや遥かな遠い土地ではなくなった。鉄道と自動車道路が全区を貫通し、大砂漠の奥地にも、奇跡のように自動車道が開通している。新彊ウイグル自治区のアラ峠における中国とハザクスタン鉄道の連結で、第2のユーラシア大陸橋が生まれ、東方と西方はひとつに結ばれた。さらに西安、蘭州、ウルムチなどの航空中枢基地も加わって、便利な交通網が形成されている。

西北地区は中国における重要な農業生産基地の1つで、綿花及び牧畜業は全国でも重要な位置を占めている。工業も日ごとに発展し、数多くの貴重な鉱産物、とくに豊富な埋蔵量をもつ石油や天然ガスの探査や開発が進められている。また黄河の上流には階段式水力発電所が建設され、各種大型工業生産基地、とくに航空、宇宙開発、電子、軍需産業などの新しいハイテク産業も形成されつつある。西北地区はまた、西安、蘭州、ウルムチ、銀川、西寧を始めとする商業貿易都市、科学教育都市を擁している。

西北地区の経済力とその水準は、目下中国6大地区の最下位にあるが西部大開発の実施に伴い、豊富な自然資源の大規模な開発利用が期待される。西北地区の5省?自治区は早くから歩調を合わせ、新しいユーラシア大陸橋の開通を利用し、新彊ウイグル自治区に依って、ロシア、中央アジア、西アジア及び東西ヨーロッパ市場を開拓し、安定した対外貿易関係を樹立して当地区の資源開発と経済成長促進を図ろうと努めてきた。現在、ウルムチ、蘭州、西安などの都市は定期的に対外経済貿易商談会を開催しており、その規模と内外への影響力も不断に拡大している。地域貿易活動は今、真の国際商業貿易活動へと転換を遂げつつある。

  中国西南部に位置する四川省、貴州省、雲南省、チベット自治区、そして重慶市は、地理的にも近く互いに寄り添うように存在している。中国の西南地区に属するこの5省?区?市は、広大な土地と多くの人口を有し、中国の大西南と呼ばれている。

大西南の地象と気候は多彩で変化に富み、区内には美しい山水の四川盆地、険しい山々が聳える雲貴高原、世界の屋根」「地球の第3極と称される青蔵(青海?チベット)高原が分布している。また長江、ヤルツァンポ江、瀾滄江などアジアの主要河川の上流にあり、 長江と支流の灌漑、航運の便に恵まれている。昔から長江はこの地区の黄金水道であった

大西南はまた、中国の少数民族が集中的に居住している地区で、漢族のほかに33の少数民族が昔からこの地で暮らしてきた。少数民族総人口は4700余万人で、全国少数民族総人口の半数以上に当たる。そのうち、雲南省特有の少数民族が25族いる。

連山に隔てられた交通の便の悪さは、長い間西南地区の経済と文化の発展を制約してきた。新中国ガ建国して数十年を経た今日、往年この地を行来していたキャラバンは、道路や鉄道運輸に取って代わられた。雪原高原に位置するチベットも、閉ざされた土地ではなくなり、川蔵(四川―チベット)、蔵(雲南―チベット)、青蔵(青海―チベット)、新蔵(新疆―チベット)道路、航空便、現代的通信手段によって、中国各地と密接に結ばれている。

西南地区は自然資源がきわめて豊富である。資源の種類の多さでは中国各地区のトップにある。そのうち鉱産物、農業、林業、水エネルギー、生物資源などは、全国でも重要な位置を占めている。ここは中国の穀物油及び牧畜業の生産基地、林業基地であると同時に、重工業を主体とする工業生産基地でもある。

また西南地区は重慶、成都、昆明、貴陽、ラサなどの経済都市と科学教育都市を擁している。重慶は中国の第4直轄市として、西南地区発展の主導的位置にある。西南地区の経済は、すでに重慶―貴州―雲南―四川―重慶という、西南鉄道沿線の重点都市と主要工業企業から構成された産業帯と区域経済圏を形成している。

  西南地区の自然と人文景観はじつに多彩である。四川の九寨溝、長江三峡、重慶の大足石刻、貴州の黄果樹瀑布、雲南の石林、チベットのポタラ宮などの風光名所と歴史文化古跡は内外にも誉れ高い。区内には歴史文物の粋が一堂に会し、少数民族が集居し、珍しい風土人情にあふれている。これらはすべて観光業発展の貴重な資源である。対外開放の拡大につれて、世界各地とくに東南アジア諸国から西南地区への観光訪問客は年々増加している。観光業は各国の人々が中国の西南地区を知る重要な窓口となっている

中国国務院は適宜、西部開発に関する5項目の指導措置を公布した。第1に、インフラ増強に当たっては、戦略的観点から出発し、将来性を考慮し、さらなる決心とさらなる投入で建設を進める。第2は、生態?環境の保護と建設をいっそう強化する。第3は、産業構造の調整を積極的に進め、高い起点から西部大開発の戦略を実施し、重複建設を避ける。第4は、科学技術と教育の発展においては人材育成を加速する。第5は、改革開放をいっそう深化させ、新しい思想、新しい方法、新しいメカニズムによって、とくに一連の重大措置を取って、西部地区の改革開放のテンポを速める

西部大開発の初期目標と投資の重点は、生態環境の改造とインフ建設に置かれている。現在、中国はすでに国民のの問題を基本的に解決し、食糧は次第に供給過剰の傾向を見せ始めている。したがって、生態の弱い西部地区が計画的段階的に田畑を森林?草地に還元し、生態環境を改善するのにベストな時期といえる

 中国の西部大開発は、中国と世界にかつてない発展のチャンスをもたらした。最も活力に溢れ速い経済発展を見せた東部沿海地区は、20数年にわたる改革開放を経て、かなりの資金、技術、人材を蓄積してきた。同時に比較的実力を備えた産業は、すでに重点を東部から西部へ移し始めている。2000年、国は国債投資と国家融資の70%を中西部地区に投入する計画である。また世界各国政府からの優遇融資や国際機構借款の70%も中西部地区に投入される。

広大な西部地区は、世界へ向かって大きく手招きしている。国際間の膨大な流動資金は、ここに理想的な投資地を見出すことができるはずだ。中国内陸部の巨大な市場は大きな魅力にあふれている。



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