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孔鉉佑大使:中国関連の問題を見るいくつかの視点
2020/09/29

 ひところから,中国関連の問題が新聞の紙面やテレビの論説番組に頻繁に登場し,日本各界の中国に対する関心の強さをうかがわせている.心配なのは,現在日本国内の中国関連問題の議論で政治化,感情化の傾向がみられ,一般大衆の中国認識を妨げ,中日関係の正常な発展の雰囲気を壊していることだ.目下,新型コロナウイルス肺炎の流行,経済の下行圧力,一部の国の政局の不安が重なって,客観的に,さまざまな敏感な問題のマイナス効果を増幅させており,中日関係もこのような大きい環境の中で影響を受けることは避けがたい.中日関係は双方にとって最も重要な二国間関係の一つであり,それは両国が地理的に隣接し,経済が高度に融合している客観的事実によって決定づけられたことで,いまの世論の風潮がさらに進むのを許すのは明らかに両国関係と双方それぞれの利益にとってマイナスだ.そこで皆さんが中国と中日関係をより全面的,立体的にとらえ,新時代の中日関係のあるべき姿を共に考えられるよう,当面の中国関連問題を見るいくつかの視点を紹介し,現下のホットな問題の経緯を詳細に説明してみたい.

  ――強大になったら,中国は対外拡張をするだろうか?

  近年中国は急速な発展を続け,10年前世界第2のエコノミーになり,ますます多くの国が人類共通の課題解決のため中国が役割を果たすよう希望している.同時に中国の発展に関していろいろさまざまな見方が現れており,その中に「中国脅威論」がある.これは中日関係を邪魔している問題の一つで,私の仕事の中で回避できない問題でもある.個人的には,相手はパートナーかそれとも脅威か,チャンスかそれとも挑戦かの問題をどう判断するかという,問題観察の視点が非常に重要だと考えている.

  歴史的にみると,中華民族の「和を以て貴しとなす」精神は今日まで受け継がれており,近・現代に中国人民は長い間戦乱の苦しみをなめ,平和が得難いことをよく知っている.新中国成立後70年間,中国は終始変わらず平和的発展の道を歩み,互恵・ウィンウィンの開放戦略をとり,新しい型の国際関係づくりのためにたゆまず力を尽くし,人類運命共同体の構築を推進してきた.国内の状況をみると,中国は世界第二のエコノミーになっているが,依然として世界最大の発展途上国である.われわれは今年小康社会を全面的に完成させなければならず,今後はさらに「中所得のわな」を飛び越え,質の高い発展を実現するなどの現実的課題に直面するだろう.そこで全国人民が引き続き苦しい努力を払う必要があるだけでなく,平和と安定の外部環境,各国との互恵・ウィンウィンの実現が一層必要になる.侵略・拡張は中国の政策の選択肢ではなく,そうなることはありえない.

  中国の軍事力整備は従来から「中国脅威論」の主要な内容だが,私は日本社会がこの問題も中国の国情や政策実践と合わせてみるよう希望している.中国には2・2万㌔の陸地国境,1・8万㌔の大陸海岸線があり,軍事力整備の目的は対外拡張を進め,覇権を争うことではなく,自身の国家安全保障と発展の利益を守り,「二つの百年」の奮闘目標の実現を保証することである.中国の指導者は国際的な場で,共同安全保障,総合安全保障,協力による安全保障,持続可能な安全保障という安全保障観を何度も提唱しているが,その核心思想はゼロサムの冷戦思考を克服し,同盟を結び対決によって安全保障を求める排他的安全保障政策を捨て,地域の普遍的安全保障を実現することである.

  多くの人は中国の行方に対する疑念をイデオロギー問題に帰している.私が強調したいのは,中国と西側諸国は社会制度が異なるが,平和共存は完全に可能だということだ.われわれは外国のモデルを引き写すことも,中国のモデルを輸出することも,また他国に中国のやり方のコピーを求めることもしていない.われわれは各国が選択した道を尊重し,各国人民にも中国人民が選択した道を尊重し,中国人民の国家の発展とよりよい生活を追求する正当な権利を尊重するよう希望している.

  ――中米関係悪化の原因はなにか?

  このところ,日本の友人たちが,私に中米関係への憂慮を表明している.確かに,中米関係はいま国交樹立後最も厳しい局面にあり,各分野の交流・協力も著しく妨げられている.これは中国政府と人民が望んでいることではなく,米国,日本を含む国際社会の共通利益にも合致しない.

  40余年前,中米両国の指導者が太平洋を越える握手を実現した.双方の数世代の努力を経て,中米関係は世界で相互融合が最も深く,協力分野が最も広く,共通利益が最も大きい二国間関係の一つになった.米国を含む世界各国との開かれた協力が中国の急速な発展を促し,中国の絶え間ない成長が米国などにも持続的成長の原動力と巨大な市場を提供した.中米の経済・貿易関係は米国の260万の雇用を支えており,中国に投資した米国企業は合計7万社を超え,年間売り上げは7000億㌦に上り,そのうち97%が収益を上げている.数十年の中米往来の成果は否定できない.

  なぜ中米関係は急速に悪化したのか?中国政府は米国に対して強硬すぎる,もう少し譲るべきだと言う人もいる.しかし中国に対する追加関税から華為<ファーウェイ>など中国企業に対するいじめまで,さらに香港,台湾,南海など中国の核心的利益にかかわる問題の操作まで,米国は中国に難癖をつけ続け,公平な国際貿易ルールを壊し,自由なグローバル市場環境を損ない,地域さらには国際社会の平和・安定を脅かしている.中米間のこれらの紛争で,中国が仕掛けたものは一つもない.両国関係が急速に悪化した根本的原因は,米国内の一部の政治勢力が中国に対する偏見と憎しみから,手中の権力を利用して,さまざまなウソをでっち上げ,悪意をもって中国をおとしめ,さまざまな口実を設けて中米間の正常な往来と協力を阻害していることにある.

  中米は国情が違い,伝統が違い,どちらも相手を自分の思い通りに造り替えることはできない.将来に向けて,米国は根本的問題を本気で考える必要がある.中国のような社会制度が違い,歴史・文化が違う大国と平和共存したいのかどうか,その用意があるのかどうか,と.

  ――中米関係の活路はどこにあるか?

  目下世界は新型コロナウイルス感染症と景気後退の二重の打撃を受けており,今後さらに経済発展,移民管理,気候変動など国家,民族,人種,世代を越えた一連のガバナンス問題に長期間直面するだろう.われわれが今日享受している繁栄は,人類の技術的進歩,歴史的英知の上に築かれている.国際社会はいわゆる「新冷戦」を人為的に作り出し,ストックの中の内部抗争で自己消耗すべきではなく,視野を広げ,共に平和を図り,発展を促して,フローの面で開拓・進取を図り,人類の長期的発展に関わり子孫末代の福祉に関わる重大な問題により多くの関心と資源を集中させるべきだ.これは世界各国の普遍的な願いで,中国が積極的に推進している人類運命共同体構築の出発点と帰着点でもある.

  中米関係は極めて戦略性,複雑性,機微性があり,互いに尊重し,小異を残して大同につくことが必要で,ひたすら他人に責任をなすりつけ,はてはいわゆる「デカップリング」による問題解決を当てにするのでは,最終的に自らを傷つけるだけである.中国は正々堂々と,米国と率直で効果のある意思疎通をはかることを願い,米国と各レベル,各分野の対話メカニズムを再開させ,平等で建設的な対話を通じて,当面の緊張をやわらげ,非衝突非対決,相互尊重,協力ウィンウィンの正しい軌道に戻り,米国と共に協調,協力による,安定した中米関係を築くことを願っている.同時に,米国が「国連憲章」の提唱する各国の主権平等の原則を履行し,異なる制度,異なる文明と平和的に共存し,世界が多極化に向かっている現実を受け入れるよう促している.中国の対米政策は終始,連続性と安定性が維持されている.同時に中国は中米関係で壁にぶつかり,風雨にさらされる覚悟をしており,必ずや自身の主権,安全保障,発展の利益をしっかり守るだろう.

  ――中国の新型コロナウイルス肺炎の初動対応の成果はどうだったのか?

  突如やって来た感染症を前に,中国は終始,オープン,透明な,責任ある態度で,国際保健規則(IHR)の定める職責と義務を真剣に果たし,最も全面的,最も厳格で,最も徹底した予防・抑制措置を講じ,感染の拡散・蔓延を全力で食い止め,国際的予防・抑制協力を積極的に進めた.中国の感染対策行動は全世界に公開されており,経緯は明々白々,事実は一目瞭然で,時間と歴史の検証に耐えられる.

  それにもかかわらず,国際社会では依然,一部の人が中国の感染対策に疑問を呈し,中国は感染発生の初期に隠蔽を図り,対応が不十分だったと言っている.まったくのでたらめだ.中国の感染対応のタイムラインははっきりし,オープンである.2019年12月27日,湖北省中西医結合病院がまず3件の疑わしい症例を報告した.29日湖北と武漢の疾病制御センターと病院が疫学調査を繰り広げた.30日武漢衛生健康委員会が「原因不明肺炎救護の取り組みに関する緊急通達」を出した.31日国家衛生健康委の専門家チームが武漢入りし現地調査を進めた.2020年1月3日,中国は世界保健機関(WHO)および米国を含む各国への速やかで自主的な情報提供を正式に始めた.8日感染症の病原を初歩的に確定した.11日中国疾病制御センターが5本の新型コロナウイルス全ゲノム配列をウェブサイトにアップロードし,全世界及びWHOとデータを共有した.23日中国政府が武漢からの出口を閉鎖する,かつてない全面的,厳格で,徹底した措置をとった.中国政府が取った措置は果断,タイムリー,強力で,中国人民の生命と健康を最大限に守り,また感染の世界的蔓延を阻止するための貴重な時間を稼いだ.

  ――新型コロナウイルスの起源は本当に中国か?

  ウイルスの起源を遡ることと感染の予防・抑制は共に科学問題であり,政治的立場を基に結論を出し判断するのではなく,専門家の意見を十分に聞くべきだ.中国もウイルスの被害国で,中国人民は感染対応のために大きな犠牲を払っており,われわれは公正な扱いを受けてしかるべきだ.米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のファウチ所長はインタビューに応じた際,現在の証拠によると,新型コロナウイルスは中国の実験室で生まれたものではない,このウイルスが人為的または故意に製造されたことはありえないと語った.有名な医学雑誌『ランセット』のホートン編集長はかつて寄稿で,WHOと中国は早くも1月に何が起きつつあるかを説明した,陰謀論でWHOや中国を非難するのは正しくないと指摘している.

  動かぬ事実とプロの判断を前にしながら,なぜある人はまだ感染拡散を中国のせいにしようと企てているのか.ホートン編集長がすでに答を与えているかもしれない.今回の新型コロナウイルス感染を中国のせいにする言動は,新型コロナウイルス感染の歴史を書き換え,一部の国の感染対応の失敗を軽視しようとするものだ,と.もっとひどいのは,西側の一部政治屋がさらに,もともとウソとぬれぎぬからなるこれらの「罪名」を中国共産党と中国の政治体制に被せていることだ.これは完全にあからさまな政治的操作である.

  目下,新型コロナウイルス肺炎はなお全世界で猛威を振るい,少なからぬ生命と健康が脅かされつつある.各国の当面の急務は偏見を捨て,団結協力して,感染情報を積極的に共有し,薬品とワクチンの開発を共同で繰り広げ,感染症の一日も早い制御と正常な経済社会生活の可能な限り早い回復に寄与することだ.また,ごく一部の国が科学を尊重,事実を尊重し,いわれもなく中国を攻撃しおとしめるのをやめ,自身の感染対策の改善と自国民の生命・健康を守ることに精力を向け,国際的感染対策協力のために建設的な役割を果たすよう心から希望する.

  ――香港国安法に関する真相はなにか?

  香港の復帰後,「1国2制度」が徹底して実行され,香港もそれによって長期の繁栄と安定を維持した.このような状況下で,一部の反中国香港攪乱分子は悔しがった.特に昨年の「条例改正の風波」の中で,彼らは頻りに大規模な違法暴力活動を行い,暴行・破壊・略奪・放火を繰り返して,香港社会の秩序を著しく破壊し,香港住民の生命・財産の安全を損ない,各国企業の香港での正常な経営に支障をきたした.また外国と域外の勢力に身を寄せ,その政治的代理人になり,香港の問題への干渉を助け,中国に対して分裂,転覆,浸透および破壊活動を進めた.

  国家の主権と安全保障を効果的に守るため,中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は香港国家安全維持法(国安法)を審議・可決した.この法律が対象にしているのは,国を分裂させ,デットラインである「1国2制度」に公然と挑戦する反中国・香港攪乱分子であり,香港にあって香港を愛し,規律・法規を順守する香港住民と外国の人々について言えば,その合法的権利と自由は安全の環境下でよりよく行使できるようになる.香港国安法はカバー範囲が広すぎ,外国籍者の中国以外での行為まで含まれていると言う人がいるが,実際,これは中国が最初ではない.日本も刑法や専門の法律で国家の安全を守ることについて規定しており,香港国安法は世界の多くの国や地域の刑法の規定と一致したものだ.

  中国ほど「1国2制度」を大切にし,香港の将来を気にかけているところはない点を強調しておく必要がある.香港の国家安全保障立法後も,「1国2制度」の方針が変わり,香港での資本主義制度の実行が変わり,高度の自治が変わり,特区の法律制度が変わることはない.基本法が付与している特区の行政管理権,立法権,独立の司法権および終審権が影響を受けることもない.国家の安全を守るいかなる活動や法執行も,厳格に法律の定めるところに依り,法定の職権に適い,法定の手続きに従って行われ,香港の住民,法人その他の組織の合法的権益が侵害されることはない.やがて,香港で生じた前向きの変化が外部でもわかると信ずる.

  ――華為とTikTok(ティックトック)が米国に封じ込められるのは安全保障問題のためか?

  ひところから,米国が国家安全保障を口実に,頻繁に国の力を使って,華為やTikTokなどの中国企業を抑えつけているのは,完全にあからさまないじめである.

  米国には始めから,華為製品の安全保障上の問題を証明するいかなる証拠もない.過去30年間,華為は世界の170余りの国・地域で1500余りのネットワークを整備し,世界の大企業500社中の228社にサービスを提供し,全世界の30億を超える人口にサービスしているが,華為製品の「バックドア」に関する証拠を示した国は一つもない.華為は世界に向かって,いかなる国や組織ともバックドアフリー協定に調印し,法的拘束力によって自らの潔白と透明性を証明する用意があると何度も宣言している.TikTok米国の中間・高級管理職にはすべて米国人を迎え,サーバーは米国にあり,データセンターは米国とシンガポールにあり,運営チームはすべて現地化されている.同社はまた,審査政策とアルゴリズム・ソースコードを外部に公開している.TikTokは米国が出したすべての要求をほぼ満たしたと言える.米中央情報局(CIA)の評価報告書でさえ,中国がTikTokのデータを横取りしたり,TikTokを利用してユーザーの携帯電話に侵入したりしたという証拠はないことを示している.米国の関係シンクタンクも,ある種のアプリケーションソフトウエアが中国企業のものであることだけで,その使用を禁止するのは決して安全保障上の理由からではないとしている.

  企業は市場原則と国際ルールに従って米国でビジネス活動を進め,米国の法律・法規を遵守しているのに,米国は「ありもしない」安全保障の問題を理由に,制限を加え,抑えつけており,これは完全に政治的操作である.その目的は国家の安全保障でも,公平・対等でもない.本当の理由はそれらが中国企業で,しかも業界のリーダーであることだ.他の国の企業がリードし,優位に立った時,口実を設けて,国の力を使うのを惜しまず,手段を選ばず抑えつけるこうしたやり方は,米国が一貫して標榜してきた市場経済と公平な競争の原則に反するだけでなく,グローバルな産業チェーン・供給チェーンの安全をも著しく脅かすものだ.これは中国企業の利益を損ない,米国の消費者と企業の利益を損なうだけでなく,そうしたことが横行するのを許すならば,必ず他の国の利益も損なうようになる.

  中国政府は一貫して,コンプライアンスを基礎に対外経済取引を行うよう中国企業に求めている.われわれは各国が公平,公正,開放,非差別性に基づくビジネス環境を守るために力を尽くし,人種差別を断固排するようにグローバルな科学技術・産業協力における国家差別を断固排し,各国の市場主体に開放,公平,公正,非差別に基づく環境を提供し,経済・貿易問題の政治化をやめるよう希望している.

  ――中印国境衝突はどのようにして起きたのか?

  最近中印国境地帯で衝突が起きたことは,世論の注目を引いた.事件の是非は非常にはっきりしている.インドの一線部隊が何度も双方の合意を破って,ガルワン渓谷,パンゴン湖,熱欽峠などで不法に境界を越え挑発し,公然と「先手を打ち」,威嚇射撃で中国の国境守備部隊の安全を脅かして,激しい小競り合いを引き起し,死傷者を出したのだ.

  事件発生後,中印両国の軍当局は何度も軍長クラス会談を行い,両国の外交当局も国境問題協議・調整作業メカニズムの会合を開いた.当面の急務は発砲・挑発など約束に反する危険な行為を直ちに停止し,すべての越境者と装備を引き揚げ,早急に接触を絶って,情勢の緩和と沈静化を図ることである.最近中印両国の外相がモスクワで会見し,当面の情勢について5項目のコンセンサスを得た.両国指導者のコンセンサスを堅持する,現地の事態を落ち着かせる,国境地域の平和と安寧を守る,外交の円滑な意思疎通を保つ,新たな信頼醸成措置の構築を急ぐなどだ.双方は両国指導者による一連の重要なコンセンサスを確実に遵守し,意見の相違を二国間関係の中で適当に位置づけし,食い違いを紛争に発展させず,事態をエスカレートさせるような行動を回避し,国境地域の平和と安念を守るために共に努力すべきである.

  中国は一貫して,対話と直接交渉による国境問題解決を主張している.中国と陸地で国境を接する14カ国のうち,われわれは12カ国と友好的な話し合いを通じて,国境画定問題を解決するとともに,多様な形式の国境協力を繰り広げ,陸地の国境を友好協力のきずなにした.中印双方には,両国指導者の重要なコンセンサスの精神の下で,国境地域の平和と安定を守り,両国関係の健全で安定した発展を図る能力がある.

  ――中日関係をどうみるか?

  中日両国は一衣帯水で,往来の歴史は古い.1972年の国交正常化以降,両国関係は何度か風雨も経験したが,全体的に平和,友好,協力の大きな方向へたえず発展しており,両国人民に実際の利益をもたらし,アジアひいては世界の平和,安定と発展にも貢献した.近年中日関係の歩みが必ずしも順風満帆でなかった主な原因は,双方の安全保障関係が両国関係と並行して改善され発展しておらず,安全保障分野の疑念が政治的相互信頼の欠如を招いて,両国関係の発展を制約する際立ったネックになったことにある.

  にも関わらず,私は中日関係の将来に依然自信をもっている.まず,中日関係の重要性は誰かが相手の国を好きか嫌いかによっても変わらず,この点については両国社会に幅広いコンセンサスができている.最新の世論調査では,両国のそれぞれ7割前後の市民が中日関係を重要としている.次に,中日交流協力の規模は過去最大級にあり,一段の質的向上・グレードアップのよい基礎も備わっている.昨年までに,両国の人の往来は国交正常化当初の1000倍余りに,二国間貿易額は300倍余りに増えた.今年は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたが,中日貿易額は6月に持ち直し,日本の対中輸出は7月からプラスに転じた.第三に,一国主義と保護主義が強まり,新型コロナウイルス感染に代表される非伝統的安全保障の脅威が増大している新たな情勢を受けて,両国が共同で外部経済環境を守り,手を携えて国際的地域的な課題に対応する必要性と緊急性は一段と高まっている.

  両国の指導者は新時代にふさわしい中日関係の構築についてすでに重要なコンセンサスを得ている.双方は両国関係の内在的価値の新たな発見,新たな考察を強化するとともに,国際的地域的視野で両国関係をみて,その戦略的意義についての認識を深め,新時代の中日関係の中身をたえず充実させていくべきだ.当面の急務は,両国の建設的な安全保障関係を築き,中日の第4の政治文書中の「互いに協力のパートナーであり,互いに脅威とならない」という政治的共通認識を確実に具体的政策に転化させ,防衛分野の交流・対話を一段と強化し,伝統的及び非伝統的安全保障の脅威に対応する二国間協力を強化し,双方の相互信頼をたえず増進することである.同時に双方はポストコロナ時代を見据えて,引き続き二国間の実務協力のチャンネルを広げ,アジアの地域協力と経済統合のプロセスをリードし,開放型世界経済の建設のために引き続きしかるべき貢献をすべきである.

  ――中国は日本の新政権に何を期待しているか?

  中国と日本は互いに重要な近隣国として,共に世界の主要経済体であり,地域の重要な国である.中国は対日関係の発展を一貫して重視している.現在の情勢の下,双方が良いインタラクションを続け,協力を持続的に深めることは双方の利益に合致するだけでなく,地域と世界により多くの安定要素とプラスのエネルギーをもたらすのにも資するものである.9月25日夜,習近平主席と菅義偉首相は電話会談を行った.菅首相就任から10日目の両国首脳の初電話会談は双方が中日関係を重視する姿勢を十分に体現した.両国首脳は電話会談の中で,手を携えて新型コロナウイルス感染症と闘い,互恵協力を深め,人文交流を拡大し,中日関係を引き続き前進,発展させることを一致して確認した.われわれは日本の新政権が中国と共に両国首脳の重要な共通認識を具体的政策と行動に変え,手を携えて新しい時代の要請にふさわしい中日関係を築き,中日関係の改善と発展の成果が両国人民により一層恩恵をもたらすようにすることを期待している.

  ――釣魚島問題の根源と活路はどこにあるのか?

  中日双方には釣魚島の主権帰属についてそれぞれの主張があり,立場は異なる.1972年に国交正常化交渉を行った際,釣魚島問題が一時,復交の障碍となった.当時両国の先輩指導者は「釣魚島問題をひとまず置いて,今後の解決に待つ」ことで重要な了解と共通認識を得た.これで中日関係の再構築,発展および釣魚島問題のかなり長期間内の安定維持のための条件がつくられた.

  中国は「係争の棚上げ」という,釣魚島問題をめぐる両国先輩指導者の共通認識に基づき,過去長い期間,釣魚島の権利擁護について自制的態度を続けてきた.だが,2012年日本政府が釣魚島のいわゆる「国有化」を実施し,釣魚島の「現状」を変えたため,中国は公船派遣による釣魚島海域の法執行パトロールを含め,必要な対応をとらざるを得なくなった.日本は中国のこの措置を「現状の力による変更」と言うが,実際,最初に現状を変えたのは中国ではない.日本の公船はつとに釣魚島海域で長年活動している.

  現在,日本世論の焦点は公船による釣魚島海域のパトロール問題だ.同問題に対する双方の最大の違いは,中国が釣魚島問題の適切な管理,両国関係の大局維持の考えから,日本公船の同海域での活動について騒ぎ立てていないことだ.いかなる国の政府でも領土主権の問題にかかわる自国の原則的立場を全力で守るものだが,双方の立場に食い違いがある事実をわざと無視するのは明らかに建設的でない.釣魚島問題処理のポイントは依然として,双方の立場が違うという客観的事実を直視し,あくまでも2014年の双方による4項目共通認識の精神に従って,同海域の情勢を適切に管理し,対話と話し合いによって双方とも受け入れ可能な解決方法を見いだすことである.重要なのは,この問題で両国の世論が縛られるのを防止し,両国関係の大局に影響しないようにすることだ.

  ――いかにして海洋関連問題によって中日関係が妨げられないようにするか?

  中日両国には東海問題で海域の境界画定と資源開発をめぐり矛盾と食い違いがある.これらの食い違いを避ける必要はないが,それが両国関係の局部的問題で,同時に海洋問題の意思疎通・協力における局部的問題であることを見るべきだ.中日双方は外交ルートを通じて海洋関連問題について接触を保つほか,安全保障対話,海洋問題ハイレベル協議などのメカニズムの枠組み下で効果的な意思疎通を維持している.近年,双方は防衛当局の海空連絡メカニズムをスタートさせ,海上捜索救助協定に調印しており,東海情勢は安定が続き,めだった緊張は生じていない.双方はこの全体的に落ち着いた雰囲気とすでに得られた協力の成果をしっかり守り,プラスのインタラクションをより多く繰り広げて,東海を平和,協力,友好の海にするという両国指導者の重要なコンセンサスを漸進的に実行に移すようにすべきだ.日本の各界にもこの問題を正しく見て,2008年の東海問題の原則的共通認識の実行をめぐる両国政府の対話・意思疎通のためにより有利な雰囲気を整えるよう希望したい.

  ひところから,南海問題がしばしば日本の国内世論に注目されているが,実際,南海情勢はずっと好転を続けている.この問題は中日間の問題ではない.われわれは日本の70%以上の海上輸送が南海経由であることを知っており,南海の航行の安全と自由に対する日本の懸念に留意している.私が強調したいのは,南海情勢が緊張していた期間であっても,航行の安全と自由は何ら影響を受けなかったということだ.中国はこれまでずっと,歴史的事実を尊重したうえで,国際法に基づき,直接の関係当事国と交渉・協議を通じて南海の係争を平和的に解決することを主張してきた.近年,中国は関係当事者と複数の共同声明,覚書などに署名するかこれらの文書を発表し,係争の解決について円滑な意思疎通を続けている.中国とASEAN諸国が共同で参加する「南海行動規範」(COC)協議も着実に進んでおり,日本が地域諸国の努力を尊重し支持するよう希望する.強調しておく必要があるのは,近年ある国が万里を遠しとせず,「航行の自由行動」の旗を押し立てて南海に向かい,軍事プレゼンスを示し,実際には故意に南海情勢を複雑化させ,係争を拡大させていることである.彼らがわざと騒ぎを起こし,はては波風を立てるのを許せば,情勢を一層緊張させるだけで,南海の航行の自由は本当に脅かされる.日本がその是非利害を見極め,本当に南海の平和・安寧の観点からこれらの動きを見るとともに,このために建設的役割を果たすよう希望する.

  ――ポストコロナ時代の中日実務協力をどのように進めるべきか?

  新型コロナウイルス肺炎流行は中日双方の既定の二国間往来の予定を乱した.両国の人の往来と経済・貿易協力も大きな影響を受け,すでに深く結合していた産業チェーンと供給チェーンが打撃を受けた.しかし私はいまの困難は一時的なものにすぎず,市場駆動型で形成された両国の互恵協力の枠組みに変化は生じておらず,両国経済には依然として強い補完性があると考えている.中国の国を挙げた感染予防・抑制は顕著な成果を収め,業務・生産再開の強力な推進で経済社会活動は急速に正常に復しており,第2四半期のGDPはプラスに転じ,月ごとの回復基調はたえず固まっている.この成果は経済が中国と深くつながった日本にも恩恵を及ぼし,日本側の統計では,7月対中輸出はプラスに転じ,8月は前年同期比5・1%増加した.中国経済は今後も引き続き日本経済に成長の原動力と巨大な市場を提供するものと私は信じている.

  双方は引き続き感染対策の情報と経験を共有し,共同予防・制御を強化し,WHOを中心とするグローバルな公衆衛生ガバナンスを引き続き支援すべきだ.これと同時に,二国間の人の往来を漸進的に再開し,ポストコロナ期の経済情勢とデジタル経済台頭の時代背景に着目して,中日の経済貿易協力の質的向上と高度化を図るべきだ.両国の指導者は財政・金融,医療・健康,高齢者介護,省エネ・環境保護,旅行・観光など幅広い分野の互恵協力の強化ですでにコンセンサスを得ており,双方は近年また科学技術イノベーション,第三国市場,地方振興協力などについて新しい協力のメカニズムとプラットフォームを設けた.双方が指導者のコンセンサスをしっかり実行に移し,さまざまな協力メカニズムを十分に活用し,互恵・ウィンウィンのためにより多くの新しい成長ポイントを生み出すよう希望する.

  心配されるのは,中日経済・貿易協力が新たな妨害要因にも直面していることだ.いくつかの国は中国の発展プロセスを絶つため,故意にイデオロギー対立をつくりだし,いわゆる「中国の脅威」を捏造し,技術,経済に関わる議題を汎安全保障化し,中国との「デカップリング」を図るほか,自分の味方になるよう他国に陰に陽に迫っている.経済グローバル化時代に,世界市場をむりやり分割し,グローバルな産業チェーン,供給チェーンを切断すれば,共倒れとなり,もともと新型コロナウイルス肺炎の深刻な影響を受けていた世界経済に再び深刻な打撃を与えるのは必定である.日本が自国の利益と国際秩序維持の観点から,関連の経済・貿易問題を正しく処理し,市場法則を尊重して,行政手段による市場主体への介入で慎重を期し,中国企業の日本での正常な経営のために公平公正で,非差別の環境を提供するよう希望する.

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